予算と環境で選ぶオーケストラ音源


最近は、数々のオーケストラ音源が発売されている。それだけ需要もあるのであろうし、今後、ますます需要は高まっていきそうな気もする。これからオーケストラ音源を買われる方も多いと思う。そこで、今回、主要なオーケストラ音源を紹介し、選択の参考になればと思う。

ところで、オーケストラ音源を選ぶ際に、予算と自分のPCのスペックをまずしっかりと頭に入れておきたい。それによって、選択肢が大きく異なってくる。

※このコラムは、以前ブログに掲載していたものを、一部加筆補正したものです。



A:最高の音源を使いたい

とにかく、どれだけ金を注ぎこんでも最高の音源を使い、本物同然のオーケストラサウンドを手に入れたいという方。

推奨PC環境

Athlon64 X2 6000+ 2GBメモリー 10000rpm対応HD(150GB以上)
このクラスのPCを4台以上必要。
PCだけで最低40〜50万円の予算がまず必要。

推奨音源

VIENNA INSTRUMENTS SYMPHONIC CUBE/STANDARD
約68万。
とにかく、圧倒的な数のサンプリング音が用意されており、オーケストラのありとあらゆるアーティキュレーションやニュアンスが詰め込まれている。音の質も高い。しかし、オーケストラに対するかなり詳しい知識がないと、とても使いこなせない。また、完全なライブラリにするには更に90万ほどの投資が必要なようである。

EastWest Quantum Leap SYMPHONIC ORCHESTRA/FULLSET+PRO XP
約70万。
こちらはVIENNAほどサンプリング音は多くなく、アーティキュレーションやニュアンスも基本的なものに留まっている。しかし、ポジションの違うマイクで収録されていて、サラウンドに対応し、とにかく音響に徹底的に拘っている。VIENNAがリアルな音とすれば、こちらは自然な音と評価したい。

100万の金と執念?があるのなら、手を出してみてもいいかも知れない。しかし、この環境は明らかにプロフェッショナルなもので、下手に素人は手を出さない方が良い。また、もう数年出せばPCももっと安価に入手出来るだろうし、音源も安くなるのは間違いない。なので、次世代オーケストラ音源という位置づけになるだろう。


B:出来るだけリアルな音源を使いたい

莫大な予算はないが、そこそこなら投資可能で、できるだけリアルなものを求めている方。

推奨PC環境

Athlon64 X2 6000+ 4GBメモリー 10000rpm対応HD(150GB以上)×3台
ここまで高性能でなくても良いが、オーケストラ音源専用PCとして最低1台は用意したい。15〜20万は必要だろう。

推奨音源

EastWest Quantum Leap SYMPHONIC ORCHESTRA/GOLD EDITION+GOLD PRO XP
約24万。
Aで紹介したFULLSET+PRO XP(PLATINUM EDITION)のスタンダード版である。とはいってもPLATINUM EDITIONに収録されたサンプルはほぼ全て入っており、カットされているのはサラウンド機能と、複数のマイクポジションである事と、24bitが16bitになっている点であり、より実用的になっているとも言える。音は基本的にPLATINUM EDITIONと同様であり、豊かなアンビエンスと繊細な表情に溢れたリッチな音源である。注意したいのは、必ずGOLD EDITIONと追加音源であるGOLD PRO XPを同時に購入する事。GOLD EDITION単体では不完全なライブラリーである。これは上位のPLATINUM EDITIONや下位のSILVER EDITIONでも同様である。ただ、よく値下げセールがあり、両方合わせて17万ほどで入手可能である。

HALION SYMPHONIC ORCHESTRA
約7万。
非常に完成度の高い音源である。この価格帯の製品では最もお勧めであり、乱用性の高い音が魅力である。24bitと16bitの両方の音が収録されている上、より軽量なライト音色も用意されているので、PCの性能が若干悪くても十分に使える。今、最もお勧めしたい音源である。

COMPLETE CLASSICAL COLLECTION
約4万円。
地味ながら意外と良い音源である。サンプリングオーケストラ音源のパイオニアである、Advanced Orchestraを音源化したものである。ヨーロッパ性の音なので、非常に格調高い音が魅力である。価格も安く、本来ならば真先にお勧めしたい音源であるが、一つ難点がある。キーボード演奏を主体に設計されているため、いわゆるキースイッチが固定されており、各楽器のキースケールが実際と全く違う配置になっている。もちろん、実際のスケールに合わせた音色も用意されているが、音がカットされている。なので、別途KONTAKT 2等が無いと非常に扱いずらい。

Modern Symphonic Orchestra(+Emulator X or Proteus X)
約3万+1万〜。
全体的に地味な音色だがよくまとまっており、自然な音が得られる。なかなかお勧めな音源だが、別途Emulator XかProteus Xが必要であり、どちらかを持っているならお勧め出来る。

最低20万位投資すれば、現状のスタンダードなオーケストラ音源を使いこなせる。クラシックやサントラ等を本格的に手掛けるならば、やはり必要な環境であろう。ボーナス等で買えば手が届くのではないか。ただし、本格的に使わない人にはやはり高いし、十分使えない。逆に本格的に使う人にとって、決して無駄な投資にはならないだろう。


C:普通に使いたい

とにかく、普通に買えて普通に使えるものをお探しの方。

推奨PC環境

Athlon64 X2 3800+ 4GBメモリー 7200rpm対応HD(100GB以上)×2台
10万程で用意出来るだろう。出来ればDTM専用PCにしたい。

推奨音源

KONTAKT 2
約6万6千円。
いわゆるサンプラーであるが、付属のオーケストラライブラリーが充実している。比較的コンパクトで音も良く、お勧めである。

MachFive 2
未定。
こちらもサンプラー。2になって、付属のライブラリーが充実するようで、32GB分ある模様。オーケストラは勿論、ピアノやオルガン等の音にも力を入れているようで、KONTKT 2の対抗馬。

MUSE
約8万4千円。
GVIエンジンの総合音源。38GBものサンプルを付属。

VI ONE
約5万4千円。
21GB、2000種類もの音色を搭載。音も即戦力。KONTAKT2の拡張音源としても最適。

INDEPENDENCE
約6万3千円。
17GBのサンプルを搭載した高機能なサンプラー。オーケストラ系の音色は魅力的。

PLUGSOUND PRO
約4万5千円。
8GBのライブラリーを持つUVIエンジンの音源。非常に音楽的であり、即戦力な音色が揃う。ただし、UVIエンジンはやや不安定か。

いずれもサンプラーであるが、オーケストラ音色にも力が入っている。厳選されているだけに使いやすさがある。10〜15万程の投資であるので、とりあえずオーケストラ音源が欲しければ第一に考えたい環境である。初心者にも扱いやい。また、こういったサンプラーが1つあれば重宝する。


D:気軽に使いたい

高価なものや高機能なものは敬遠して、お手頃に使いたい方。

推奨PC環境

Athlon64 X2 3800+ 4GBメモリー 7200rpm対応HD(100GB以上)
7〜8万で用意出来るはず。

推奨音源

EastWest Quantum Leap SYMPHONIC ORCHESTRA/SILVER EDITION+SILVER PRO XP
約7万円。
キャンペーン価格で5万ほどで手に入るので、比較的お手頃である。このシリーズのエントリーモデルながら、即戦力な音とまとめられたライブラリーは、初心者にも使いやすく、上級者にも手軽に使える音源としてお勧めである。

PROSONUS THE ORCHESTRA COLLECTION/GIGA
約3万円。
安価であり、とにかくコンパクトである。ただし、サンプルCDなので、扱うにはGVIやKONTAKT2、HALion3等の別途GIGA対応のサンプラーが必要。

Virtuoso X
約7千円。
激安である・・。今なら5800円で入手出来る・・・。ならかなりショボイのでは?いや、それが素敵♪内容は、かつてオーケストラ音源の代名詞としてあらゆるシーンで使われ、今もってファンの多い音源、Proteus Orchestraをサンプル化したものである。とにかくよく出来た音だと思う。これも扱うにはEmulatorXかProteusXが必要であるが、ProteusXは1万円程で入手出来るので、合わせても1万7千円である。かなりお買い得!

とりあえずオーケストラ音源が欲しい人にはこの辺りがお勧めである。PC込みでも10万程で用意できる。すでにPCがそこそこスペックの高いものであれば、1万7千円から入手可能!!軽量級の音源で、サンプルもよくまとまっているので、初心者はもちろん、上級者もサブ音源として持っていても損はしないだろう。


E:とりあえず使いたい

出来るだけお金を掛けずに、とりあえず使いたい方。

推奨PC環境

Athlon64 3000+ 2GBメモリー
4〜5万で作れるだろう。というより、今の一般的なPCならOKである。

推奨音源

HQ-Orchestral
約3万5千円。
要求スペックはかなり低く、まさにお手軽音源である。しかし、上級者向けである。この音源ほど使い手の技量が求められる音源は皆無。下手な人が使うとしょぼく、上手い人が使うと凄い。この音源は、音そのもののリアリティーより、音楽的な表現力でリアリティーを出す音源である。上手く使えば先に紹介したAクラスにも引けを取らないクオリティーになるし、下手に使ったら酷い。なので、この音源の評価はかなり分れている。もし、腕に覚えがあるなら試して欲しい。最強の武器になる。初心者は手を出さない方がいい。

Hypersonic 2
約5万5千円。
これも初心者には向かない。オーケストラ専門の音源ではないが、オーケストラ音源としても十分使える。こちらも表現力が重視されており、使いこなすにはかなりの力量がいるだろう。ただ、全般的に使いやすい音が多く、総合音源として1台持っていると重宝するだろう。

7、8万位で用意出来る。実際、今使っているPCでも十分なはずなので、音源だけを買えばいい人は多いだろう。導入しやすく、オーケストラ音源入門的な位置づけのような感はあり、実際、導入者は多い。しかし、多くの場合、Orchestral...音がしょぼい→GARRITAN ORCHESTRAL...思ったほど音が良くない→...やっぱ安もんはあかんは→挫折。のパターンである。皮肉だが、HQ-OrchestralもHypersonic 2もかなり上級者向けである。上手く使えば凄くいい音が出るんだが、単に使ったらあんまりリアルでない。なので、初心者や中級者など、オーケストラに詳しくない人は、Dで紹介した音源をお勧めする。


F:ハード音源を使いたい

PCにお金を掛けたく無い方や、ハード音源に魅力を感じてる方。

推奨PC環境

Sempron 3000+ 512MBメモリー
1〜2万で作れるし、中古で2〜3万で入手出来る。というか、お手持ちのPCで大抵OKだろう。

推奨音源

SonicCell+SRX-04+SRX-06
約12万円。
ROLANDの最新音源SonicCellに、拡張音源SRX-04とSRX-06のセット。クオリティーの高い音色が揃い、音楽性が高く、表現力豊かなオーケストラを再現出来る。この環境で不満を感じる事はまずないと思う。不満を感じたならば、いよいよ本物の楽団を使うしかない。音そのもののリアリティーはVIENNAやEastWest等のソフト音源に一歩譲るが、楽曲として仕上げた時のクオリティーはむしろこちらの方が高い気がする。なお、Fantom-XRよりもこちらの方が生音系が強化されている上、安価なので、こちらを薦める。

MOTIF XS
約23万円〜。
YAMAHAの最新音源。YAMAHAならではの美しい音色。音の質感がRolandのFantom-XR等とは異なる。この辺りは好みの問題である。2台ともあれば無敵だろう。曲によって使い分けたり、楽器ごとに使い分けたり。なお、いずれ音源のみのMOTIF-RACK XSが出て、14〜15万ほどで入手出来るはずなので、それを待つのもあり。中古でMOTIF-RACK ESやMOTIF-RACKを買う手もある。ただし、 MOTIF-RACKはやや古いし、MOTIF-RACK ESも最新の音源には劣るので、MOTIF-RACK XSを待つのがお勧め!

一応、PCとセットで12〜25万ほどの投資となる。これはそのBで紹介したのと同じ価格帯であるが、実際、クオリティー的にみてもいい勝負だと思われる。ハード音源の魅力は、安定した動作とフットワークの良さ、オーディオ的な意味での音の良さ、音楽的な完成度と表現力など、まだまだソフト音源に対するアドヴァンテージがある。また、ソフト音源はPCスペックの要求が厳しいので、自作等が難しい人や、音楽自体に集中したい人にとっては、やはりハード音源を選びたい。もちろん、ライブ派にとっても使いやすい。ただ、音自体の絶対的なリアリティーはやはりソフト音源の方が上なので、より専門的に窮めたい人や、逆に初心者等はソフト音源をお勧めする。


G:お手頃なハード音源

あまりお金がないが、良質なものを求めている方。

推奨PC環境

Celeron 2.2GHz 512MBメモリー
何でもいい。1万程で入手可能。

推奨音源

MU2000EX
約10万円。
かつてのDTMフラグシップ音源であるが、今だ現役でも使える。音のクオリティーはさすがに今の音源にとてもかなわないが、豊富な音色と多機能なエディット、多彩なエフェクトと圧倒的なスペックで、何でも出来る音源といえる。また、ストリングス系の音色は美しく、今だ一線として使える音である。なお、オークション等で5〜6万で入手可能である。

SD-20
約3万5千円。
必要最小限なスペックであるが、音色の質は高い。MU2000EXみたいに多彩なエディット等は出来ないが、その分出音自体がリアルである。こちらは管楽器、特に木管がいい感じの音。

4〜5万ほどで用意出来る。ただ、このクラス辺りでは、技術力が試される。巧く使えばなかなかリアルなオーケストラを表現出来るが、下手ならさっぱりである。


H:お金が無い

お金が無く、PCもしょぼいのにオーケストラ音源を使いたいという方。

推奨PC環境

不問。
3000円ほどで手に入るのでは?

推奨音源

MU128
約1〜2万円(中古)。
スペック的にはMU2000と同じ。かなりの事は出来るだろう。

SC-55
約3〜5千円(中古)。
かつてのベストスタンダード。一応、音は揃っている。

Microsoft GS Wavetable SW Synth
無料。
Windows2000以降に標準搭載のソフト音源。バカにされる事も多い音源だが、しかし、バカにしてはならない!!これだけでさらりとブルックナーをやり切ってしまう強者が世の中にはいるのだ。
結局、タダの勝利なのか?否、結局はお金じゃない。技術と音楽性。この2つが重要なのである。




自己のお金と技術、音楽性が高いほど選択肢が広い。いずれかが欠けるならば努力するしかない。とにかく、資金と自分の腕を量りにかけてよく選んでほしい。また、すでに何かしらの音源があるなら、もう一度その音源の可能性を引き出してみてほしい。どの音源も、相当な事まで可能である。また、ぜひ本物の、生のオーケストラの音に少しでも多く接して欲しい。CD等の録音ではなく、あくまで生。多くの生演奏に接する事が、オーケストラ音源を使いこなすための最大の上達法である。

なお、有名な音源でも、今回取り上げなかった音源がある。それも含めて、各音源の詳細や、DTMでのオーケストラ演奏ののコツ等を、今後も取り上げていく予定である。



トップへ
トップへ
戻る
戻る